Eternal Snow

120/武術大会 〜開幕 その2〜

 

 

 

係員が会場設営をしているのを眺める二つの影。

背の高さは互いにほぼ変わらず、一人は鳶色の髪、もう一人は栗色の髪。

広い肩幅を持っていることから、男性であることが判別出来る。

スタッフジャンパーを纏わずに、しかも手伝おうとするそぶりも

全く見せない所がいっそ解り易い。

 

 

 

 「零兄さん。夕べの朋也君の件ですが、どう見ます?」

 

 

 

問われた人影が応じるように肩を竦めた。

 

 

 

 「“全ては本人次第”……それ以外表現は出来そうにない、ってのが本音か?

  秋子が言ってくれたことには素直に感謝してるが、そう簡単に行くなんて

  楽観しちゃいないさ。彼が戻ってきてくれるとなると心強いのは確かだけどな。

  迷ってるんだろ? 答えを出せなかったのが何よりの証拠だろうしな」

 

 

 

DDE司令部所属、G.A【賢者】こと水瀬賢悟と、G.A【零牙】こと相沢零。

かつて神器『白虎』『青龍』の座に就いていた、DDにおいて事実上、最強の一角。

 

 

 

 「そうですね……朋也君はあまりにも、優し過ぎたから」

 

 

 

設営の流れを視界に留めているのに、どこか違う所を見ているような視線で呟く賢悟。

そんな彼の横顔を決して見ることはなく、同じようにして零も呟いた。

賢悟にだけ伝わる音量で。無論それで充分で。

 

 

 

 「優しいのが悪いなんて言わない。立派過ぎる美徳……ってな。

  責める訳にはいかないさ。そりゃぁ、俺らの立場から見たら

  朋也クンの選択は正しくはない。正しいと思える分、正しくない」

 

 

 

その矛盾を理解出来るだろうか?

正しいと判断する感情と、正しくないと判断する理性との違いを。

本音は解り切っている。本音に従いたいという気持ちもある。

 

 

 

 「正しくないからこそ、朋也クンの判断は間違ってない。

  なぁ賢悟? 俺とお前が彼と同じ立場になったとして、同じ真似が出来ると思うか?」

 

 

 

その唐突な問いかけに、弟――賢悟は即答を返さず、思考を巡らせる。

思うは過去か? 至るは記憶か? 感じることは経験か?

僅かな逡巡を経て、彼は返答を発す。

 

 

 

 「……正直なところ、無理でしょう。

  いくら何でも実行出来る勇気はないですよ、しがらみが多過ぎますし。

  もう若くないってことでしょうね、僕も貴方も。違いますか?」

 

 

 「違わないな。だからこそ羨ましいし、叶えてやりたいって気持ちもある」

 

 

 「同感です。でも、期待は隠せない。

  結局僕らとしては、戻ってきてくれることを信じるだけですか」

 

 

 「てことだ。仲間であるってこともそうだが……。

  人の親として、あいつらの力になってくれる彼を失いたくない。

  これもエゴか、ったく」

 

 

 

その言葉にくすりと笑う賢悟。

けれど、その笑みは一瞬で失せる。

 

 

 

 「――――何故。僕達の時に奴らは来なかったのでしょうね。

  二年……たった二年早く奴らが現れていれば、

  あの子達に負担を掛けることもなかった。僕達がいた。柳也さんも」

 

 

 

それ以上は言うだけ無駄だ、とこちらを見た零の視線が語った。

賢悟は自ら言葉を紡ぐことを止め、兄を促す。

 

 

 

 「月並みなことを言えば、運命ってやつだったんだろうな。

  俺達が神器でなくなったことも、祐一達がその後釜になったことも。

  柳也がいなくなったのも」

 

 

 「……解ってるからこそやりきれませんよ。

  確かにあの子達は当時の僕達よりも強いでしょう。

  腕や経験云々じゃない、その秘められた才覚が、です。

  その意味ではあの頃に下した判断は間違っていなかったと思います」

 

 

 

“賢悟”という名前がいっそ滑稽に思える程に、自分の言葉は真実を突く。

名が示す意は――――賢く、悟る者。

故に、理解することが悔しいとすら。

 

 

 

 「兄さんも理解している通り……もう僕達では“今の”『神獣』を操るのは無理です。

  一弥君が従える“白虎”は、僕の時よりも強くなっている。

  何より僕に“雷が使えなかった”ことが証拠。“青龍”もそれは同じですよね?

  祐一君達が強いのは事実です。けれど、彼らの強さの源泉は」

 

 

 

そこで賢悟は口を濁した。

あまりにも哀し過ぎるから。自分の甥が。

自分の息子とすら思っているあの二人が。そして、二人の親友達が。

 

 

 

 「――――復讐、絶望、渇望。どうしようも無い位のマイナスの感情。

  逆に云えば、マイナス感情しか持ち合わせてない祐一達が

  よくもまぁ“神器に成れた”とも思ってる。お前にだから言える本音だが」

 

 

 

賢悟が濁した言葉を、零はいとも容易く発していく。

新たな意図を含めて賢悟の回答を求めていく。

彼は「相変わらず厳しいですね」と一息吐き終えてから応じる。

 

 

 

 「ですね、僕も兄さんじゃなければ言いませんよ。

  祐一君達が帰還者に堕ちなかったことが、ある種奇跡みたいなものですからね。

  ……成る程、だからこそ“運命”と?」

 

 

 

勿体振った物言いを咀嚼するように理解して、その問いの原初に戻る。

 

 

 

 「ああ。そいつが“Destiny”なのか“Fate”なのかは兎も角な。

  “the crack of doom” ――――最後の審判の刻、全てが解るんだろ?」

 

 

 「シェイクスピアですか? 似合いませんよ、兄さんには」

 

 

 

茶化したように彼が言う。空気を重くしているから。

無意味と判っていても、そうしたかった。

視線に映る設営の光景がもはや景色にすらなっていなくても。

 

 

 

 「偶には格好付けさせろっつの。ま、話戻すと。

  連中の内、舞人クンだけは答えを見つけつつあるらしいが。

  それだって完全じゃない。ふとした拍子に転ぶことは充分にありえる話さ。

  『神器に成ったから大丈夫』じゃない、『神器に成ったからこそ危ない』んだ」

 

 

 

神器であったからこそ、それが解る。

 

 

 

 「でも、零兄さん。まだ彼らは16、7の子供なんですよ。

  なんでそこまで辛い思いをしなきゃならないんですか?

  抱え込むには大き過ぎる。帰還者と人間の戦いは世界すら巻き込む代物なのに。

  僕達は成人すらしていない彼らに期待するしかないなんて……」

 

 

 「残酷な女神様がいるんだろうさ、それも性悪のな」

 

 

 

零の言葉はどこか他人事のように響く。

けれど投げやりな意味を含んでいるわけではなく、

解決策を得てやることが出来ない苦悩の思いも同時に発していた。

 

 

 

 「賢悟、せめてあいつらが笑顔でいられる時間を作ってやることが俺達の仕事だ。

  その時間が長くなればなるほどいい。そう思わないか?」

 

 

 「返事なんて言うまでも無いことですよね。

  ですが、僕達に出来ることなんてたかが知れているのもまた事実です。

  それこそ、一番手っ取り早いのは祐一君達が新しく護りたい誰か……。

  有り体に言ってしまえば恋人を作ることなんでしょうけど、ね」

 

 

 「だろうな。案外それが一番単純で一番判り易い方法かもしれない。

  実際にどうなるかは全くの別問題として。あ〜、んで賢悟、ここだけの話だぞ?

  正直、祐一と一弥クンに関しては名雪ちゃんや真琴ちゃんに期待してるんだが」

 

 

 「意見としては僕も同意ですよ。ですがまだ無理でしょう。

  僕の娘を評価してくれるのは有難いですが、

  あの娘達では今の彼らを支えられない。ただ……」

 

 

 「ただ?」

 

 

 「秋子が真面目に言ってたんですが、一弥君があの娘達と……まぁ、その……」

 

 

 

それ以上を話したくはないのか、賢悟は口を濁す。

実際、自分の幼馴染にして妻の精神を疑ったくらいだから。

あの場に於いて賢悟は正しいリアクションをしたと今でも思っている。

本当ならば怒りを顕にしたり、呆れたり驚愕するだろうが零はいたって冷静だった。

 

 

 

 「あ〜……成る程っつーと語弊あるけど。年頃だから有り得ない話じゃないか。

  全く、スゲェ時代だよ。しかし、一弥クンとなると……。

  真琴ちゃんに栞ちゃんに美汐ちゃんってことなのか?」

 

 

 「そうみたいです。親としては怒るべきなのか、喜ぶべきなのか。

  純粋に一弥君の立場だけを考えれば、結果的にプラスだと自覚もあります。

  とはいえ、娘の親としては……無論人様の娘を預かっている立場からもですが」

 

 

 「――――簡単に答えていい内容でもないな」

 

 

 「全くですよ。零兄さんは祐一君だけですから、そういう悩みがなくて羨ましい」

 

 

 

賢悟は零に対して愚痴を言い、零は苦笑で応じる。

 

 

 

 「どうだかな。何にせよ、親ってのは大変だよ」

 

 

 

妙にしみじみと呟く零。

 

 

 

 「そうですね。まぁそのことはこの辺りでお開きとしまして。

  ああ、そうそう。兄さんは聞いていますか? この後彼らが何をやるか」

 

 

 

その声音はあくまで確認であり、賢悟は解答を持っていることが伺える。

 

 

 

 「ん? やっぱ何かやる腹積もりだったのか?

  まぁ浩平クンと舞人クンがいて何もしない筈もないか。

  だけどプログラムに何も書いてないぞ?……ん、お前が知ってるってことは……。

  ったく、賢悟。裏で糸引いたなこのやろ」

 

 

 

零が軽く拳を握り、賢悟の頭を小突く。

 

 

 

 「あはは。ライブやるそうです。舞人君曰く、

  『スーパーエンターテイナーとして依頼があります。

  俺達のライブは極秘扱いにして下さい、その方が面白いですから』

  ……とのことでしたよ」

 

 

 「ふん、成る程ねぇ。碌でもないことするつもりか?

  相変わらずというか何と云うか……ともあれ、楽しみに待ってやるか」

 

 

 「そうしてあげてください。祐一君達からしてみれば、

  この大会ソレくらいしかやれることが無い訳ですから」

 

 

 「立場を考えれば仕方ないとはいえ……。不憫だよな、あいつら」

 

 

 

そう言う零に対し、肩を竦めてみせる賢悟。

 

 

 

 「力を持っているからこそのストレスはあるかもしれませんが、

  あの子達はちゃんと力の意味を理解してますからね。

  その点に関しての心配は要らないでしょう。

  逆に不憫であるからこそ別方向――今回はライブってことですけど。

  そっちに頭を向けるんですから、案外図太いんじゃないかなぁ、と。

  だからこそ祐一君がいつも頭を悩ませている訳で」

 

 

 

あの有り様はいっそ笑える程である。

 

 

 

 「うんにゃ、それ位させといた方がいいんだよ。浩平クン達のことはこの際置いとくが、

  無駄な方向に頭使わせとかないと、祐一のヤツ潰れちまいそうだからな。

  相沢祐一の親父としては、そういう心配もあるってことさ」

 

 

 「いえいえ。それは僕も同じですよ?

  僕だって一応、祐一君や一弥君にとっては父親代わりですからね」

 

 

 「自分で言うかぁ? そういうこと」

 

 

 

零は呆れた目を賢悟に向けた。

向けられた賢悟は、開き直ったように微笑を浮かべ、

 

 

 

 「息子を持たない父親の気持ちは、零兄さんには判らないでしょうが」

 

 

 「娘の居ない父親の気持ちは、賢悟には判らないだろうが」

 

 

 

事もなく返される。隣の芝生は青く見えるものだ。

零はくくっ、と込み上げてくる笑いを殺さなかった。

 

 

 

 「昔はこんなこと言うようになるなんて思っちゃいなかったよなぁ」

 

 

 

賢悟は「ああ、その話ですか」と頷いて

 

 

 

 「お互い、自分の奥さんを単なる幼馴染としてしか見てませんでしたからね〜。

  特に零兄さんと夏子姉さんは……素直じゃなかったというか何と言うか。

  その意味では僕らの方がマシでしたよね、間違いなく」

 

 

 「五月蝿い。今となってはいい思い出で済む話だっ」

 

 

 「僕と秋子がどれだけフォローをしてきたか……。

  全く、それこそ今となっては心から感謝して欲しいですね」

 

 

 「やかましい、時効だ時効っ」

 

 

 

どうでもいい余談に思考を割く、あまりに無駄な二人であった。

 

 

 


 

 

 

賢悟と零が話をしている丁度その頃、会場では相変わらず秋子が指示を出していた。

その隣には夏子の姿があった。

さやかの姿は既に其処には無く、おそらく別の場所に移動しているのだろう。

夏子はスタッフ用のジャンパーを羽織ることで、場にいる違和感を誤魔化しているらしい。

 

 

 

 「姉さん、あそこに賢悟さんとお義兄さんが」

 

 

 「え? あ、本当ね。ぼーっと突っ立って……少しは手伝いなさいよね」

 

 

 「無茶ばかり言っちゃいけませんよ。お二人にも積もる話があるってことでしょう?」

 

 

 「どーだか。あたしみたいにジャンパー羽織れば済む話じゃないの。

  こっちからすればサボってるようにしか見えないわよ……あの馬鹿」

 

 

 

だるそうな表情で賢悟と零を見る夏子。

最後の言葉は間違いなく自らの夫に向けたものだろう。

 

 

 

 「あらあら。そんなことを言ったら可哀想ですよ。

  それに、賢悟さんは人がいいですから下手すると……。

  いえ、下手をしなくても本物のスタッフに声を掛けられて

  そのまま完璧にお手伝いしかねませんし。

  お義兄さんの場合は声を掛けられるのを嫌がってどこかへ雲隠れしそうですし。

  私達から見える範囲にいるだけマシですよ? 多分」

 

 

 「……そりゃそうだわ、あたしの失言ね」

 

 

 

かんらかんらと豪快に笑い、秋子も珍しく苦笑を禁じ得ない。

自分で言っておいて何だが、非常に高確率に有り得そうだからである。

 

 

 

 「なんであたしはあいつを旦那にしたのかしらねぇ」

 

 

 「あら、姉さんってば随分面白いことを言うんですね」

 

 

 「何よ。ならあんたは判るっての?」

 

 

 

秋子は当たり前といった様子で続ける。

 

 

 

 「愛しているから、に決まってますよ。小さい時から、ね?」

 

 

 「う゛……そりゃまぁ、そうだけどさ」

 

 

 

発言した秋子よりも、問うた夏子の方が赤くなる。

一応注釈すると、互いにとても16,7の子供達がいるようには見えない。

 

 

 

 「賢悟さんもお兄さんも女性に人気がありましたからね。

  幼馴染としては喜ぶべきかどうか悩みましたよね、特にバレンタインとかは」

 

 

 「……あの二人、それぞれちゃんと本命チョコが用意してあるってのに。

  気軽に他の女の子からチョコ貰っちゃったりしてさぁ〜、あーもう」

 

 

 「それだけ賢悟さん達が魅力的だったってことですよ。

  妻としては喜ぶべきじゃないですか?」

 

 

 

頬に手を当て、いつもの微笑みを浮かべる秋子。

 

 

 

 「……一応ね。正直あたし達は他の娘達に比べれば遥かに恵まれてた。

  おかげで結婚まで漕ぎ付けたけど、あの娘達はどうかしら?」

 

 

 「名雪達のこと?」

 

 

 「勿論って言わせて貰うわ。

  我が息子ながらあんないい子達をよく惹きつけたって感心するわよ。

  だけど……、祐一には神奈ちゃんが居た」

 

 

 

表現は過去。だが過去に存在した事実。

故に、秋子と夏子の表情に翳が差す。

どうしてもその話題にだけは、笑顔を浮かべることなど出来ない。

 

 

 

 「忘れろ、なんてことは言えませんし、言いたくもありませんよ?」

 

 

 

言える筈がない。癒えてもいない彼に、言える訳がない。

その悲しみは確かに本人だけのものでも、苦しんだ姿を知っているから。

 

 

 

 「当然じゃない。ただ……」

 

 

 「ただ?」

 

 

 「名雪ちゃんが、香里ちゃんが、あゆちゃんが、舞ちゃんが、佐祐理ちゃんが。

  あの子を……祐一を、支えてくれるかしら?」

 

 

 

母親としての願い、相沢祐一の幸せを願う一人の親。

 

 

 

 「……まだ無理です。名雪達はまだまだ『闇』を知らない。

  祐一さんに限らず、一弥さんの闇も何も知らない。それが幸せかもしれない。

  だけどあの二人の隣に立つには不十分。姉さんもそう思うでしょう?」

 

 

 

秋子は叔母として、娘の友達を見守る一人の母として断じた。

 

 

 

 「そうね。いずれ……期待してもいいのかしら?」

 

 

 「判りません。結局は祐一さんと一弥さん自身の問題ですから。

  私達は助けてあげることしか出来ない。残酷な結果にならないように」

 

 

 

二人は知らない。既に心を痛めている誰かが居ることを。

洩らした真実の一片を。苦しむ過去の残照を知る者を。

 

 

 

 「残酷な天使と祝福なき神様、か。

  それなら無慈悲な夜の女王様は、あの子達に祝福をくれるかしら?」

 

 

 

『月は無慈悲な夜の女王』――それを揶揄したのか。

空に浮かぶ月は、日の光を浴びることなく淡く其処に在る。

 

 

 

 「―――間違いないですよ」

 

 

 

姉の言葉を、秋子は断定で返す。

 

 

 

 「あら? やけに自信あるじゃないの。珍しいわね?」

 

 

 「ええ、裏葉さんの言葉を信じてますから。言ってましたよね?

  『月は翼人の力の源泉なんですよ』って。だったら、心配なんて要らないでしょう? 

  だから信じましょう、姉さん。あの子達には祝福が待っているんだ、って。

  それを私達が信じなくて誰が信じるんです?」

 

 

 

秋子が浮かべたのはたおやかな笑み。

一本取られたわね、と応じた夏子が苦笑を交える。

脳を刺激されたのか夏子は名案とばかりに手を打ち鳴らした。

しかし、見る人が見ればそれは悪魔の悪巧みとも思えるから不思議だ。

 

 

 

 「姉さん?」

 

 

 「そうよね。月の祝福は勿論大切なことよ。

  でも、こっちからアプローチ出来ない訳じゃないわよね?

  イイこと考えたわ。フラグ作りのお手伝いってね」

 

 

 

夏子はちょいちょい、と秋子を自分の傍に寄せ、何やら耳打ちをする。

それを聞いた秋子の顔が、まもなく微笑へと変わる。

 

 

 

 「褒めればいいのか悪いのか……いえ、私も人のことは言えませんけど」

 

 

 

その企みが吉となるか凶となるかはまだ判らなくて。

月が煌くその影に、輝かぬ星々の存在が在って。

流転する時の流れのように、流転し続ける未来のように。

月に、星に、願うものはただ一つ。

 

【いつか、笑顔に、逢えますように】





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